「コミュニケーション能力」とはいったい何か? ー 後編

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近況報告

こんばんは。わしゅーです。最近、暑かったり寒かったりして、体調管理が大変ですね。うっかり窓を開けたまま寝てしまうと、寒くて目が覚めてしまったりすることがあります。

現代は変化の激しい時代と言われますが、天気のほうも、暑すぎたり寒すぎたり、変化の振れ幅が大きくなっているような気もします。

「コミュ力」と「社会的スキル」

さて前編では、「コミュニケーション能力」に焦点を当ててみました。コミュニケーションとは、相手が知りたいことを的確に伝える、相手の伝えたいことを的確に捉える、という能力ということでした。

「初対面で、しかも短い時間で」コミュニケーションを成立させるためには、本来のコミュニケーション能力だけではなく、「社会的スキル」も必要になります。いわゆる「コミュ力」は、コミュニケーション能力+社会的スキルのことではないか、と考えたわけです。

では、社会的スキルとはいったい何でしょうか。ネットでいろいろと調べていると、高井と太田による先駆的な論文があることがわかりました。

Jiro Takai, Hiroshi Ota, “Assessing Japanese Interpersonal Communication Competence”, The Japanese Journal of Experimental
Social Psychology. 1994, Vol. 33, No. 3, 224-236

彼らは、とくに日本文化を考慮し、日本人に適した「日本版対人的有能性尺度(JICS)を提案しています。本論文によると、その尺度とは、以下の5つから成っているとのことです。

  1. 察知能力
  2. 自己抑制
  3. 階層的関係管理
  4. 対人感受性
  5. あいまいさへの耐性

どのようなものでしょうか。ひとつひとつ見てみましょう。

社会的スキルの内容

察知能力

原論文ではPerceptive Ability(PA)と記載されています。これは、「間接的メッセージを認知する能力」のことです。

人と人とのコミュニケーションには、言葉による直接的なメッセージだけでなく、身振り手振りや、表情、視線の合わせ方など、間接的なメッセージがたくさんあります。こういった非言語のメッセージを受けとる能力は、とくに初対面で相手のことがよくわからない場面で重要であることは、容易に想像できると思います。

自己抑制

原論文ではSelf-Restraint(SR)と記載されています。これは、「本当の感情を隠し、自己主張を抑える能力」のことです。

初対面の相手にいきなり「僕は君のことが気にいらない、僕は怒っている」などと言いはじめたら、一触即発の雰囲気になってしまいます。逆に、初対面でいきなり「もう好きです、大好きです、結婚してください」などと言われたら、大抵の人は困惑するでしょう。まずは感情を抑え、定型的な挨拶から入ることで、相手を安心させることができます。これも当然のこととして、容易に想像できると思います。

階層的関係調整

原論文ではHierarchical Relationship Management(HRM)と記載されています。これは簡単にいうと「上下関係を気遣うことのできる能力」のことです。

いわゆる「目上、目下」という感覚は、コミュニケーションの基本的な要素の一つです。人はだれしも、年齢や立場、先輩か後輩か、などを考慮して相手との距離感を無意識に決めます。相手が自分をどう見ているかを理解して、それにあわせて敬語を使ったりして、適切な距離感をとることが求められるわけです。

「だれにでもタメ口で喋る芸能人」というのが話題になることがありますが、あえて階層的関係調整を無視することで、人目を引くわけですね。もちろん、それで怒りだす人もたくさんいるわけですが。

対人感受性

原論文ではInterpersonal Sensitivity(IS)と記載されています。これは「感覚的メッセージ、すなわち、ストレートではないやり方で気持ちを伝えることができる能力」ということです。

気持ちを伝えるときに、直接言葉に出したり、態度に出したりするとカドが立つ、場の雰囲気を壊してしまう、ということが、人間関係ではよくあります。そういうときに、直接的でない表現方法で、いわゆる「遠回しに」気持ちを表現するということができれば、柔和な雰囲気を保ちながら、「やんわりと」伝えるということができるわけです。

あいまいさ耐性

原論文ではTolerance for Ambiguity(TA)と記載されています。これは「相手がはっきりと気持ちを示さなくてもそれに耐えられる対処能力」のことです。

常に「白か黒か、はっきりしろ!」という態度をとりつづけていると、それ以上会話が進まなくなる場面はたくさんあります。会話を続けるためには、たとえ相手の言葉があいまいであったとしても、おおまかな方向性を理解して、それに対応して言葉をつなげていくことが必要になります。お互いがそういう態度をとることで、話が徐々にはずんでいくわけです。

あいまいなのは良いことなの?

こうして見てくると、日本人のコミュニケーションスタイルというのは、実にあいまいです。あいまいなものを許容しながら会話を繋げていって、あるところで「これは受けいれられそうだ」とお互いが思ったところで、本音を相手に伝え、相手もそれを受けとめて、ようやくコミュニケーションが成立する、という感じです。

しかし、こういうものは「スキル」なのでしょうか。スキルというと「スキルが高いのはよいこと」「スキルが低いのは悪いこと」と考えがちですよね。。しかし、「あいまいなほうが無条件に良いこと」とは、わしゅーは思えませんが、みなさまはどう感じるでしょうか。

こういった「あいまいさ」というのが苦痛になる人も、たくさんいると思いうのです。もっとストレートに思ったことを言いたい、聞いてほしい、面倒なことはうんざり、よくわからない。。そんな感じです。

おわりに

上で述べてきたように、日本人が「良い」とする社会的スキルは、ものすごく「あいまい」です。あいまいなことには、もちろん良い面もありますが、悪い面だってたくさんあるはずです。

初対面が苦手だったり人見知りだったりする人を、一律に「社会的スキルが低い」と切り捨ててしまってよいものでしょうか。

「社会的スキルが高い」といわれる人達は、その「あいまいさ」で苦しむ人がいることにも、すこしだけ心を留めてほしいと思います。

人間関係ですから、ちょっとだけ配慮してあげることで、大勢の人がもっと生きやすくなると思います。

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