音楽馬鹿

「あなたが一人で鳴らしている音がどんなに良い音でも、バンドで全員で鳴らした時にもその音が良い音とは限らないよ。」

大学に入学して間もなく入ったバンドサークル、そこでバンドなど組んだことが無かった私をバンドに誘ってくれた先輩が、バンドの初回練習で初めて合奏した直後、私にそう言った。

当時の私には、何もわからなかった。私の音が大きかったのかな、私やっぱり演奏下手だったのかな、としか思えなかった。

ただ「わかりました」と嘘を吐き、「頑張ってみます」とだけ返した。

私の頭には、音を「作る」という発想も無かった。キーボードなんて、鍵盤を弾けば音が鳴る、ただそれだけの楽器だと思っていた。

その日から、何も知らなかった私は色々なことを手探りで1から勉強した。楽器のこと、バンドのこと、他のパートのこと、演奏する曲のこと…

気が遠くなるほど次から次へ、知らない用語や世界に触れる。横文字ばかり。かと思えば謎の数式に出会う。音楽を生業とする人は一体どれほどの知識を持っていて、一体どれくらい努力を重ねているんだろうか…なんて考えてしまった。

 

私が好きになったジャンルであるロックやポップは、それまでに経験した音楽といえば吹奏楽くらいだった私が知っていた音楽とは全く違っていた。もっと自由で、感覚的。誤解を恐れずに変な言い方をすれば、もっと若くて馬鹿で、真っ直ぐな音楽。

色んなライブを観た。入学してから現在に至るまでポップ、ロック、インスト、プログレ、ジャズなどいろんな曲を200曲近くコピーして、10曲ほど作曲もした。

時には徹夜もして、時には一日中泣いて、馬鹿馬鹿しいほど本気の真似事に力を注ぐ日々が続いた。

最近になって先輩の言葉の意味や、先輩が言いたかったことが分かってきた気がした。

合奏において、バンドメンバー同士が言語に代わる表現方法である「音」を合わせることができたとき、確かに全員が満足する瞬間があった。

頭の中で固形状になっていた不安や緊張感が、バンドサウンドと共に一瞬にして昇華する瞬間。自信と他人を信じる心が繋がった時の、快楽とは別の幸福感。それを一度でも感じたライブは必ず、終わった後観客にも絶賛してもらえるような素敵な誇れるライブとなった。

 

ここからなぜか「ですます口調」になります。2015年11月9日、ですます宣言。歴史のテストには出ません。

私が知る限りでは、そして経験した限りでは、学生がバンドに全力を費やすのってとても馬鹿で素敵なことです。どれくらい馬鹿かっていうと、今私が書いてるこの文章くらい馬鹿です。そしてどれくらい素敵かっていうと、大好きな人のために傷だらけになるみたいな、それくらい素敵なことです。

そして私は、そんなバンド活動に身を捧げ自分達の音楽を世界に向けて発信していくアーティストの方々を、心から尊敬しています。知名度が低くても大好きなバンド、みんな大好きだけど好きになれないバンド、色々ありますが、とにかく強い意思を持つバンドマンは本当に輝いて見えます。

色々忘れて楽器や音楽のことばかり考えて、でも考え詰めた時より感覚的に弾いた方が上手くいったりして、必死にやってきた割には、私は音楽のことについて、未だに本当に何も掴めていません。

それでも少しずつできることが増えてきたり、周りのメンバーと息が合ってきたりして、その度に嬉しくなって、小さな幸せと小さな落胆を繰り返して、時に立ち直るのが難しいくらい落ち込んだり、飛び跳ねたくなるほど喜んだり。

そんな日々を過ごしていて、ある時、ふと  感情は意思より先に生まれているのではないか  なんて考えました。

音楽もきっとそうで、意思や思考よりもっと身に染み付いたものとか、癖とか、無意識的な何かに近いものかもしれない。まぁそれなら掴めなくても仕方ないよね、なんて言い訳してみたり。

 

インディーズバンドのデモ音源みたいにごちゃごちゃしたブログになりましたが、何はともあれ、最近ようやく、あのとき先輩に対して妙に自信ありげに放った「わかりました、頑張ってみます」の返事が、ただの嘘ではなくなってきています。

周りの人に対する感謝も嫉妬も全部エネルギーにして、残りの音楽人生も程よく馬鹿な感じで生きていたいなと思います。あと、音楽好きな人、よかったらぜひお話聞かせてください。

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