「承認欲求が強い」という悩み

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近況報告

こんばんは。わしゅーです。寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

わしゅーは、相談を始めて1ヶ月ほどが経ちました。チャット相談の件数も80件を超えましたが、ご相談の途中でお返事が途切れてしまったり、アドバイスばかりになって、相談者様の気持ちに寄り添えていなかったりと、反省することしきりの毎日です。

承認欲求

さて、ココトモの掲示板相談で、「承認欲求」という言葉に出会うことが多いと感じました。

承認欲求という言葉は、Google Trendsによると、2013年~2014年ごろからネットの検索数が急増しています。

Google Trends – 承認欲求

総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、10代~20代のTwitterの利用率は、2014年にほぼ50%に達していることがわかります。Facebookは、20代の利用率が、2013年に50%を超えています。

総務省 情報通信政策研究所 – 令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

TwitterやFacebookなどのSNSが普及し、「いいね」が欲しい、という心理が一般化して、一挙に有名になった言葉といえると思います。いまや、ひろく10代~20代に受けいれられ、承認欲求を満たしたい、という欲望も、一般的なものになっているといえるのではないでしょうか。

マズローの欲求5段階説

この「承認欲求」という言葉ですが、アブラハム=ハロルド=マズロー(1908~1970)という、アメリカの心理学者が提唱した、「欲求段階説」という理論から出てきた言葉のように思います。

マズローは著書「人間性の心理学」の中で、人間の欲求には5つの段階があること、それは、段階を追って、自己実現に向っていく、という考え方を示しました。この理論は、心理学だけでなく、経営の分野でも、たとえばマーケティング理論などにも応用され、広く知られるようになっています。

“人間性の心理学―モチベーションとパーソナリティ”- A.H. マズロー (著), 小口 忠彦 (翻訳), 産能大出版部; 改訂新版 (1987/3/10)

「承認欲求」は、この5段階のうちの、下から4番目に位置付けられています。ここからは、わしゅーの解釈を交えて、人間の欲求段階について書いてみたいと思います。

生理的欲求~安全の欲求

1段目 – 生理的欲求

「生理的欲求」は、「食べたい」「寝たい」というような、生物としての基本的な欲求です。生存欲求とも言われます。これは分かりやすいですね。経済的な理由から、この水準の欲求を満足できていない人は、早急に国家の保護を受けなければなりません。

一方、経済的な理由はないのに、この欲求を満足できないことも、危険な状態です。たとえば精神的な理由で「食べられない」「眠れない」というのは、他のあらゆる欲求を脇において、生理的なレベルで危ないということです。承認欲求どうこうを言う前に、この欲求を満たせるレベルまで、健康を回復しなくてはなりません。

あるいは、このレベルの欲求を満足するだけで、その次のレベルの欲求に進まないのも問題と言えます。たとえば、大事な話の最中に寝てしまうとか、所かまわず何かを食べている、というのも、それはそれで、人間の成長のレベルとして危ない、ということになります。

2段目 – 安全の欲求

「安全の欲求」は、身体に危害を与えられず、経済的にも安定して暮らしたい、という欲求です。日本国憲法にある「健康で文化的な最低限度の生活」をしたい欲求、と言ってよいと思います。

これが満足できないということは、日常的にDVを受けていたり、いじめにあっていたりする、あるいは、医療を受けたくても、お金がない、その他の理由で、医者に見てもらうことができない、といった生活をしていることになります。

たとえば、「自殺願望があるほどにメンタルが荒んでいるけれど、親に相談できなくて、そのために精神科や心療内科を受診できない」という状態は、生存の欲求が満たせていない、ということになります。やはりこれも、危険な状態であり、承認欲求などということを語っている場合ではない、ということになります。

所属と愛の欲求~承認欲求~自己実現欲求

3段目 – 所属と愛の欲求

「所属と愛の欲求」は、「社会的欲求」とも言われます。これは、会社、学校、仲間といった、何らかの「社会」つまり人間集団に所属していたい、その中で受けいれられたい、という欲求です。「孤独でいたくない」という欲求ですね。

たとえば、家族全員と仲が悪くて、家族の中で孤立してしまっている、あるいは、ある日学校に行ったら、友達全員が自分を無視してきて、突然孤独に落とされてしまった、という状態は、この欲求が満たせていないことになります。

さて、「自分は承認欲求がすごい」という悩みがあったとします。しかし実際は、この「所属と愛の欲求」が満たせていない、というケースが多い気がします。たとえば「なんとなく友達の中で浮いている」と感じるのは、承認欲求というより、所属と愛の欲求が、危機にあるということです。社会に受けいれられ、自分への愛を感じることができていない、ということになります。

4段目 – 承認欲求

「承認欲求」は、集団に属するだけではなくて、「もっと自分の価値を認められたい」「高く評価されたい」という欲求です。集団の中心人物として注目を集めたい、そんな欲求と言えます。

承認欲求は、それより下位の3つの欲求、つまり「生理的欲求」「生存の欲求」「所属と愛の欲求」の3つが、しっかり満たされていて、はじめて健全なものになるのではないでしょうか。つまり、しっかり集団に所属し、愛を感じることができていれば、承認欲求が満たされなくても、「次、また頑張ろう」という気持ちに、自然となるような気がします。

しかし、ここで「所属と愛の欲求」が抜けてしまっていると、承認欲求が満たされないことで、一気に、「生存の欲求」のレベルにまで落ちてしまうことになります。そうなると、家出をするとか、学校に行きたくない、というような、社会集団から逃亡するような行動が出てくるかもしれません。

5段目 – 自己実現欲求

承認欲求が十分に満たされると、「自分らしくなりたい」という気持ちが出てきます。これが「自己実現欲求」です。自分なりのこだわりを実現したい、という気持ちですね。

やはり、健全な自己実現欲求を持つためには、承認欲求が十分に満たされていることが、一つの前提になるように思えます。たとえば、承認欲求を満足できていないのに、一足飛びに自己実現へと突き進んでしまうと、自尊心が足りなくて「夢がないと自分が壊れてしまう」ような状態になるのではないでしょうか。

つまり、夢を実現するというより、「自尊心を守るために夢が必要」となって、「夢に執着している」状態になるということです。こうなってしまうと、周囲の声も聞かず、実現性の薄い目標にこだわって、時間を無駄にする、といった状態に陥るかもしれません。

健全な承認欲求は、より下位の欲求を満たしてから

わしゅーは、この説を、「より下位の欲求を満たさないまま、上位の欲求を強く持ってしまうと、なんだかおかしなことになる」という風に捉えています。

現代は、「承認欲求」、つまり「いいねが欲しい欲求」を、すごく刺激されやすい時代です。しかしその前に、ベースになる欲求が、しっかり満たせているか?ということを、一度考えてみても、いいかもしれません。

ココトモでの相談が、自分を振り返るキッカケになればと思います。

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コメント一覧

全1件
  1. schedule2022.12.19

    000000059447

    3回目のコメントになります。直接チャットをする勇気がないのでブログの感想を書くことにより気持ちを整理させて頂いています。ありがとうございます。
    所属と愛の欲求
    1番はここです。本当に同感です。
    ここが上手く満たされていないと、とてもつらくてさみしいです。でも、なかなかそれが得られないことがあります。
    でも、得られるという希望を捨てません。
    承認欲求についてはsnsの拡散に伴い特に若い人の方が逆に悟りを開いてline以外やめたという動きも聞いたことがあります。
    snsで公開されているのはいい所だけであって(半ばファンタジー)全てを真に受けて羨むものでは無いということが段々わかってきつつあるようです。
    本当に満たされている人間はあえて自分の幸せを他人に晒さないのではないかとか。
    私は、生活のあらゆる場面が他者に向けたネタになる、人から受けるのか否かを考えて暮らすのが大変そうだと思います。受けるという確信があるから投稿し続けるのでしょうが。
    そんな事を言っても人々が群れて楽しそうにしている記事を見ると寂しくなったりその人の生活水準を窺い知ると羨ましく思ったりするのも事実です。また話が逸れてしまいましたね。

    最後の自己実現欲求というのは私は現実的ではないと思っています。遠い遠い仙人の世界の話です。「自分らしく」というのは曖昧模糊としているからです。

    その手前の承認欲求、これは諸刃の剣ですが、やはり私たちはこれによってやる気が出て前に進めたり、踊らされて疲弊しますのでうまくつきあってゆくしかないのかなとも思います。

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