誰のために書くのか
edit2016.05.06 1,264
『ナラタージュ』から島本さんの作品が好きです。登場人物が自分とダブるから。あと、志緒の「まだ実際に起こっていないことに対する心配なんていうものは、しょせん、すべて妄想なのよ。」とか、泉のお母さんの「近くに知り合いがいても、そばに夫がいても、淋しいときはあるの~中略~それなら一番好きな男の人のそばがいいわよ。」っていう科白が好きで。
一番新しい『ダ・ヴィンチ』みたら、島本理生さんは『ナラタージュ』以降、『夏の裁断』あたりまで約10年間作家業の傍らカウンセリングに通っていたらしいのです。
作家なんて、自分の経験切り売りする最たるものじゃないですか。経験してなければ書けない。(経験してるからって描写できる訳でもない。)
島本作品に出てくる人たちって決して生きやすい思考回路の持ち主じゃないんですよ。もちろん人間関係に不器用なのは成育環境のトラウマが多分にかかわってはいるのですけど。だから島本さんは登場人物の痛みに寄り添えるくらい自分の私生活に痛みを抱えていたか、抱えた人が極親しい間柄でいたんだろうとは想像がつきます。『夏の裁断』は特に、どこからがフィクションなのかわかりにくい作品です。
痛い辛い思いをしても、それはきっと人の痛みに寄り添うことができる自分になるチャンスだから。昇華して生きたいものです。日常に追われて忘れてしまっている部分もあるけれど。見て見ぬふりをしている過去もあるけれど。
⬇⬇以下、私が先月読んだ14冊を、人におすすめするならどんな人にすすめるかを考えてみました⬇⬇
子どもがいる生活、新米の親ってどんな感じかを知りたい人
➡『おなかおしりほっぺ』伊藤比呂美 中央公論社
幼稚園、保育園などの現場の雰囲気をほんの少しだけ感じてみたい人
➡『保育現場の困った人たち』百瀬ユカリ 創成社
大人な恋愛の小説が読みたい人
➡『誰もいない夜に咲く』桜木紫乃 角川
爽やかな気分になりたい人、ほっこりしたい人
➡『海を見に行こう』飛鳥井千砂 集英社
ドキドキするミステリーが読みたい人、血とか殺人とか大丈夫な人
➡『インシテミル』米澤穂信 文藝春秋
島本作品が好きな人
➡『夏の裁断』島本理生 文藝春秋
いろんなショートショートを読みたい人、書きたい人
➡『星空博物館』太田忠司 PHP文芸
別解がほしい人
➡『○に近い△を生きる』鎌田實 ポプラ社
向田作品初心者、昭和の綺麗な言葉遣いに触れたい人(「トイレ」は「ご不浄」っていうとか)
➡『父の詫び状』向田邦子 文春
家族の絆の話読んで泣きたい人、朝井リョウの雰囲気が好きな人
➡『星やどりの声』朝井リョウ 角川
おもしろいミステリーが読みたい人
➡『花の鎖』湊かなえ 文春
日常の謎を美味しい料理とともに味わいたい人、アットホームなビストロに行ってみたい人
➡『タルト・タタンの夢』近藤史恵 創元社
3ヵ月で結婚相手に巡り会えることを信じたい人
➡『3年恋人なしの私が3ヵ月で結婚をつかんだ婚活メソッド』中島彩 講談社
又吉さんにちょっと笑かされたい人、又吉さんの好きな本を知りたい人、これから何読もうかなと思ってる人
➡『第2図書係補佐』又吉直樹 幻冬舎よしもと
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