強迫的な潔癖症の発症と治癒まで
edit2023.06.10 734
(写真は、関係ない写真(倉敷の景色)です。後日、良さそうな写真かイラストに、変更します)
30年間悩まされた強迫行為を、病院やカウンセリングに行かず準備期間約2か月で治癒している記録です。
治癒開始から1か月経とうとしえいて、かなり寛解に近づいてきましたので、お世話になっているココトモさんでブログに書いてみることにしました。
*強迫症状を治癒中のかたは、読むと巻き込みが起きるかもしれません。十分配慮しましたが、苦しくなってきたらお控えください。
また、強迫症状そのものについては、巻き込みに配慮し、今回は記載していません。「続きを読む」機能を使って書こうと思ったのですが、上手く使えなかったため、また別の機会に追記させていただきます。
文章は、分かりにくい箇所があると思いますので、適宜、修正すると思います。
【前置き】
「強迫?脅迫ではなくて?」という人もたくさんいらっしゃると思います。止めたくてたまらないのに「時間をかけて手を洗ってしまう」「何度も確認してしまう」といった気持ちや症状のことです。
ココトモでは、メンバーの ゆう さんも、強迫について書いてくださっています。
とても深い見識をお持ちのかたですので、ご覧ください。
【強迫的な潔癖症状】
私は、強迫的な潔癖症状を抱えています。30年間悩まされた症状を、4月初旬から治癒の準備をして、5月中旬から止めています。
強迫の治癒は、嫌なのにしてしまう習慣的行動をやめる、という特殊なものです。
行動を中止してから1か月が経ち、かなり落ち着いてきましたので、強迫で悩んでいる人向けに、治癒に焦点を当てた経験談を、書いてみることにしました。
もし強迫性障害を治したいというかたがいらっしゃったら、微力ですが参考になるかと思います。
私もまだまだ治癒中ですので、一緒に頑張れたら嬉しいです。
個人的には、強迫の治癒は、他の疾患とは違うような気がしました。治癒するぞという気合と根性、サポーター陣の「頑張れ!」という応援が必要だ、という気がしています。
【症状歴】
私の強迫的な潔癖症状は部分的ではあるのですが、洗浄行為があります(した)。20歳ごろ発症して、30年間、日常生活を送ってきました・・・というか、知恵を絞って日常生活を送れるようにしてきました。
ただ、諦めたこともいろいろあります。時間はかからないものの洗浄行為をやめられなくて、見られないようにやるので変な人だと思われないか、ビクビクして過ごしてもきました。必然的に、一人でできる仕事、個人主義の人が多い職場を選んできました。
家族の理解もあり(治癒には良くないのですが)、日常生活を送ることができていました。
一人でできる仕事、個人主義の職場というのは、症状が無くても、自分に合っています。そのため、強迫のせいで仕事に支障が出るということは、とても少なかったです。
【子供の頃】
幼少期から何となく潔癖なところはあったように思います。小学生の時、汚い子に対して「バリア」などと言うのが流行っていて、私もやっていました。
【発症して5年ぐらいの時、医師に診てもらった】
発症して5~6年ぐらいの時、26歳ぐらいの時に、治さないと私生活に影響が出るので、医者に行ってみました。医者からは淡々と薬(SSRI)を出され、カウンセリングを紹介されました。
薬はめまいがし、カウンセリングは「もっと汚い」と思えてしまう結果になり、やめました。症状を何とか軽減しながら日常生活をそれに合わせる方に舵を切りました。
そのまま、症状が少し改善したり悪くなったりで、30年間過ごしました。
【メンタルの交流会に入る】
症状が出てきてから30年後、偶然、メンタルの交流会に入りました。(ココトモとは全く関係の無い団体です。下記「メンタルの会」と書きます)
自分の強迫は強すぎるので、治すことは完全に諦めて、生活を症状に合わせることにしていたため、強迫を治す目的は全くありませんでした。
強迫を治すためではなく、ストレスや適応障害といった心の問題に興味を持ったのと、主宰者に共感したためでした。
メンタルの会に入ったばかりの頃、メンバーさんたちに、「るうさんはどんな症状ですか?」と聞かれました。そこで初めて、もう治すのを完全に諦めていた、強迫的潔癖のことを、突然思い出しました。
とりあえず、「潔癖症です」と答えました。ただ、全然、本当のキレイ好きではないので、説明が難しくて、それ以上は言えませんでした。
メンタルの会に入って2か月間ほどは、症状についてはお互いあまり積極的に公開しない会だったこともあり、症状についてほとんど話しませんでした。
【2か月後、話をただ聞いてくれる人たちと出会えた】
メンタルの会では、お喋り会などに出席して、ほぼ、症状とは関係ない、休日の過ごし方とか、好きな食べ物とかをお話ししました。
メンタルの会に入る前は、8割程度が強迫の人だと思っていたのですが、入ってみると、強迫のメンバーさんは、数人しかいませんでした。
その数人ぐらいの人たちも、優先的に治療したい他の疾患があったり、「確認強迫」という別の種類の強迫だったりしました。潔癖強迫のメンバーさんは、私が知る限り、ほとんどいませんでした。
一度、偶然、症状について、強迫ではないメンバーさん2人に、落ち着いて話す機会に恵まれました。その人たちは別の疾患を抱えてはいるのですが、比較的回復期にいる人たちだったと思います。
話し始めた時は、相手に巻き込み症状が出てしまわないか心配で、「大丈夫でしょうか」と聞きながら話したのですが、大丈夫とのことでした。最後まで「へ~」と言いながら、遮ったり感想を言ったりせず、聞いてくれました。
この時偶然話を聞いてくれた人たちが、聞き手として相性が良かったと思います。
最後まで話した時に言われたのが、「へ~。珍しいですね」でした。
そこで気がラクになりました。
アドバイスは、特にいただきませんでした。気を遣ってくださったのだと思います。
他のメンバーさんたちに話しても大丈夫かな?と聞いてみたら、「珍しいから大丈夫だと思う」でした。
その後、数人のかたに同じ話をしたら、全員のかたが、ほぼ同じ「珍しい」という反応でした。
自分のやっていることが、「世界に一人しかいなそう」と思えてきました。
メンバーさんたちは、頭ごなしに「治らないよ」とか「そりゃひどい」などとは言わずに、否定せず聞いてくれました。
そういう人たちなら感想やアドバイスをもらっても傷つかなそうと思い、お願いしてみました。
「日本人は清潔にしすぎ。少数民族のYouTubeが参考になる」
「誕生日から占ってみたけど、疾患にかかる感じはない。心の風邪が長引いただけなのでは」
といった意見をもらい、かなり、回復できそうな気がしてきました。
【強迫専門の組織や会合を探してみたが、諦めた】
強迫は一人で治すのは困難だと思います。特に、日常生活を何とか送れているギリギリの人だと、治すきっかけを失ってしまっていると思います。
メンタルの会には強迫の人が少なかったので、強迫専門の機関で時間が合いそうなところを、探してみました。私の探し方が下手なのか、日時と場所が限定されているし、活動もあまり盛んでないようにみえました。
特に、会場に行くのが、面倒だと思いました。そして何より、私と同じように苦しんでいる人々に会うことをシミュレーションしてみたら、巻き込みが起きそうで、とても怖くなりました。
メンタルの会でも、「強迫症状を抱える人でセッションを行って、困りごとや症状を語る会をしたい」という要望が出てきました。
発達障害や鬱などについては、生活上の工夫についての交流会は、私も参加させてもらったことがあり、かなり成功していると実感できました。
ただ、強迫については、他の強迫のメンバーさんの中から巻き込みを心配する声があがり、私も、そういえばそうだと感じて、参加を見送りました。
これで、「同じ症状の人たちと一緒に集団で克服する」のを諦めました。
【3か月後、勇気を出して、広範囲のメンバーさんたちにアドバイスや感想を求めてみた】
メンタルの会に入って3か月ほど経った頃、運営者の一人である心理士の先生に、私の症状を説明して、「広く意見や感想を募集しても良いでしょうか」と聞いてみたら、「どうぞ」と快諾してもらえました。
そこで、お喋り会で、詳しく症状を口頭やチャットで説明しました。掲示板もあったので、そこでも同じことを書きました。
この頃には、治したいという気持ちが高まっていました。ですので、もし、一番もらいたくないアドバイスや感想(「治らない」とか「行為が時間の無駄」)を食らっても、反面教師的な意見として励みにできる心の状態になっていました。
いろいろな考え方や体験談が、集まりました。(*症状に関することですので、このブログには書いていません)
ここで、メンバーさんに強迫の人が少なかったことが、私にとっては功を奏しました。フィルターの無い率直な意見やアドバイスが集まったからです。
「治るにはかなり時間ぐらいかかる」とか「強迫だけでなく発達障害もあるのでは」といった意見もいただいたのですが、それは必ずしも正しくないと思いました。
「時間がかかる」意見はもうずっと以前に知識として知ってはいたものの、「何だとコノヤロー」と、ぎゃふんと言わせてやると強く思いました。反面教師的な意見として、克服のために使うことにしました。
また、発達障害については、そう診断されたことがない(精神科にかかれば診断されるのかもしれませんが)うえに、もし発達障害も併発していたとしても、発達障害まで治そうとすると強迫も治すのに著しく時間がかかってしまうので、「自分は発達障害ではない」という前提で、治す方に舵を切りました。
また、書籍を紹介してもらったのですが、廃刊になっていました。その代わりに、
「強迫症を治す~不安とこだわりからの解放」
(亀井士郎、松永寿人著、幻冬舎)
という書籍に出会い、大きなヒントをもらえました。著者は確認強迫ということで、私は潔癖なので種類が違うのですが、治癒に役に立ちました。
「強迫大魔王から逃れて、こちらの世界にいらっしゃい」といったメッセージが書かれていて、大きな励みになりました。
【まず、事実と認知をできるだけ変える】
そこから動こうと思うまで、半月かかりました。
薬はできれば飲みたくないと思い、医者に行くのはやめました。
認知の歪みと、今まで染み付いた行動パターンを変えるのは、かなり苦戦します。
事実は今回は変えようがなかったのですが、変えることができる場合もあるかもしれません。科学的・客観的に見てあまりにも汚すぎるままだと、認知を変えにくい場合もあると思いますので、本当に汚い物の場合は、ある程度キレイだと思えるように整えることは必要かなと思いました。
【認知を修正し、コンセプトのメモを作成した】
メンバーさんたちから集まってきた意見と、自分の考えも加えて、考察しました。
2週間ぐらい考えて、紙に書きだしました。
意見は、使えるものは全部使いました。
私は考え方のクセとして、ものごとを比較しやすいので、そういった、普段はネガティブにしか使えない考え方のクセも、認知の修正に取り入れてみました。
また、論理的に深詰めして、結論を、紙にできるだけたくさん書きました。
【切り札になるワードを思いつき、コンセプトのメモ作成が完了】
最後に、切り札として思いついたのが、
「この強迫行為をやっているのは、世界中で私一人だ」
というコンセプトでした。
世界中で誰一人として、私と同じ強迫行為をしている人はいないと思います。(やっている人は、同じ強迫症状の人です)
ということは、
「自分が世界に近づけばよい」
というスローガンを思い立ち、紙に書きました。
【なぜ強迫になったのか考えるのは、止めた】
強迫になった原因を考えたら、寛解に役に立つのではないかと思って、少し調べてみました。
「母親」「幼少期」とかがキーワードに出てきました。
これで解決に向かいそうなら良いのですが、私の場合は、今さらそんなことを深堀りしても嫌な気持ちになるだけだと感じました。
また、幼少期に何かあったとしても、少なくとも物心ついてからは母とは特に関係が悪くないので、考えないことにしました。
父は完璧主義で、今でいうASDっぽかったですが、故人ですし、もし原因が父母だったりしても、過去にはさかのぼれないので、考えないことにしました。
【いつ・どこで行動を開始するか(行動を止めるか)を考えた】
行動については、いきなり扉を開くか、階層を作ってラクな方から挑戦するか、どちらかだと知りました。
シミュレーションして気持ちを想像してみた結果、やるなら一度にやったほうが良いと思い、いきなり扉を開きました。
そうなると、とにかく初回が一番大変です。
どこで行うのかも大事になります。
他のことでストレスが溜まりすぎているとキツイし、リラックス時はせっかく楽しんでいるのに強迫治癒に気を取られるのは嫌だと思ってしまい、やりたくなくなりそうだと思いました。
メンバーさんから、「嫌なことがあると強迫に走る」という話を聞いて、自分の場合は逆だということに気付きました(楽しいことをするときは、キレイでいたいと思う)。
そこで、職場で初回をやってみることにしました。職場は、強迫行為をしていない他人が大勢いるので、そういう意味でも安心です。これは大正解でした。
【行動に移してみた】
強迫行為を止めるのを、ある日の朝から始めてみました。
行きの通勤途中では、できませんでした。
会社の机でやることにしました。
何とか成功して、夕方まで会社で過ごせました。
最初の2時間ぐらいは、拭きたくなったのですが、コンセプトを書いたメモを見て、また、「今日帰宅の電車の中で、できたということをメンバーさんたちに報告するぞ!」と意気込むことで、乗り越えられました。
夕方ごろには、かなり気にならなくなってきました。
【リアクションボタンで応援してくれる人たちの、大きな力】
帰りの通勤電車の中で、メンタルの会の掲示板に、「やってみた」報告をしました。20分程度の間に、15人ぐらいのかたから、「頑張ったね」や「笑顔」などのリアクションボタンをいただきました。電車の中でしたが、思わず泣きました。
最終的に20人以上のかたに、リアクションボタンを押していただけました。それをスクリーンショットに取りました。これがお守りの役割を果たしてくれて、上記のコンセプトメモと一緒に、大活躍してくれました。
会社から帰宅した時は、かなり不安な気持ちにはなりましたが、掲示板書き込んだり、リアクションを見直したりして、無事過ごせました。
【1週間】
強迫行為をしたくなりそうな気分になると、コンセプトを書いたメモと、リアクションのスクショを見ました。視覚情報はとても強いです。
それも、1週間終わる頃には見なくても済むようになりました。
会社で仕事するだけでなく、旅行や趣味もしてみたのですが、強迫行為をせずに過ごすことができました。
【2週間目で気付いたこと】
一日が短い、ということに気付きました。以前は1時間ごとに時計を見ていたような生活だったので、時間を気にしなくなってきました。
また、3週間目ぐらいまでは、とても眠くなる時がありました。
うつ病の回復過程でも眠くなると、メンバーさんから聞いたので、強迫でも似たような感じなのかなと、とても嬉しくなりました。
【その後】
今ちょうど2か月目に入ろうとしていて、強迫観念が沸き上がることは、なくなりました。
症状自体の話を聞いたり読んだりすると、3週間目ぐらいまでは巻き込みが起きて耐えがたい苦痛を感じたのですが、今は、少しマシにはなってきました。とはいえ、症状自体の話に巻き込まれないことは、まだ自信がない状態です。
メンタルの会でお話をしたり掲示板やり取りしたりした人たちの存在はありがたかったし、交流会は楽しかったのですが、治癒開始から3週間目で、退会しました。
強迫症状そのものについて話す人がいたり、体験談をぜひ話して欲しいという人も出現してきてしまって、自分の頭の中で収集がつかなくなったためです。今はまだ、巻き込みが起きそうです。そういったことに対応できるようになったときが、真の寛解だと思います。
以上になります。
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